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ふくら雀(4)
ご先祖の視覚的記憶は自分に宿るのか。いつもそのことを考えながら絵を描いています。今回のふくら雀の絵も母の着物の帯どめや子供の頃に遊んだふくら雀の根付がイメージの原型になっています。ふくら雀は冬に丸くなった雀の姿をかたどったものですが、おたふくなどと共に日本人にはなじみ深い縁起物として、親しまれていたと思います。 可愛さの点では今流行のゆるキャラとと共通点がありますが、そこは昔の日本職人の心意気と技術力、鋭い口ばしや爪、繊細な羽がリアルに表現されており、子供心にも「クールだ」と感じていました。そしてもう一つ夢中になったものが、私の生まれ育った島根県西部、石見地方も伝わる石見神楽です。 神社の舞楽殿で大江山の般若もやまたの大蛇の須佐之男も、八調子といわれるアップテンポのリズムを刻む太鼓と笛に合わせ回転し、次第に演じても見物人も陶酔状態になっていきます。 ふくら雀たちが、石見神楽の音と物語のなかで永遠に回り続ける。そして回転させるたびに形や色が変化していく万華鏡のような世界を描いてみたいと思いました。
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